理系大学生のブログ

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平均誤差半径(CEP)と目標に当たる確率

平均誤差半径、または半数必中界(CEP)とは、ミサイルや爆弾の命中精度の指標であり、着弾点の分布が 円形正規分布に従うとしたとき、平均弾着点を中心とし、その円内に着弾する確率が50%になる円の半径のことである。 目標の半径がわかっているとき、平均誤差半径をつかって弾が目標に直撃する確率を求めたい。

地平と重なるように直交するx_1軸、x_2軸をとる。弾着点を(x_1,x_2)とし、x_1x_2の誤差が互いに独立で、 かつ分散が等しいとき、弾着点は円形正規分布に従う。このとき、x_1およびx_2の分散を\sigma、また (\mu_1,\mu_2)を平均弾着点とすれば、 弾着点の分布の確率密度関数は以下のようになる。

\displaystyle{
f(x_1,x_2)=\frac{1}{2\pi\sigma^2}\exp\left(-\frac{(x_1-\mu_1)^2+(x_2-\mu_2)^2}{2\sigma^2}\right)
}

簡単のため(\mu_1,\mu_2)=\boldsymbol{0}とすると、

\displaystyle{
f(x_1,x_2)=\frac{1}{2\pi\sigma^2}\exp\left(-\frac{x_1^2+x_2^2}{2\sigma^2}\right)
}

CEPをR_{CEP}とすると、その定義から

\displaystyle{
\int_{0\leq x_1^2+x_2^2 \leq R_{CEP}^2}\frac{1}{2\pi\sigma^2}\exp\left(-\frac{x_1^2+x_2^2}{2\sigma^2}\right)dx_1dx_2
=0.5
}

左辺の積分極座標に変数変換して

\displaystyle{
\rm{(LHS)}=\int_{r=0}^{R_{CEP}}\int_{\theta=0}^{2\pi}\frac{r}{2\pi\sigma^2}\exp\left(-\frac{r^2}{2\sigma^2}\right)d\theta dr\\
=\int_{r=0}^{R_{CEP}}\frac{r}{\sigma^2}\exp\left(-\frac{r^2}{2\sigma^2}\right)dr\\
=\left[-\exp\left(-\frac{r^2}{2\sigma^2}\right)\right]_{0}^{R_{CEP}}\\
=1-\exp\left(-\frac{R_{CEP}^2}{2\sigma^2}\right)
}

これが0.5に等しいので

\displaystyle{\begin{eqnarray}
\exp\left(-\frac{R_{CEP}^2}{2\sigma^2}\right)=0.5 \tag{1}
\end{eqnarray}}

円形の目標の半径をRとし、目標の中心を狙ったとき(平均着弾点が目標の中心のとき)、目標に直撃する確率P(R)

\displaystyle{
P(R)=\int_{0\leq x_1^2+x_2^2 \leq R^2}\frac{1}{2\pi\sigma^2}\exp(-\frac{x_1^2+x_2^2}{2\sigma^2})dx_1dx_2
}

先ほどと同様に計算すると

\displaystyle{
P(R)=1-\exp(-\frac{R^2}{2\sigma^2})
}

これを変形して

\displaystyle{
P(R)=1-\exp\left(-\frac{R_{CEP}^2}{2\sigma^2}\frac{R^2}{R_{CEP}^2}\right)\\
=1-\left(\exp\left(-\frac{R_{CEP}^2}{2\sigma^2}\right)\right)^{\frac{R^2}{R_{CEP}^2}}
}

式(1)より

\displaystyle{
P(R)=1-0.5^{\frac{R^2}{R_{CEP}^2}}
}

まとめ

平均誤差半径をR_{CEP}、目標の半径をRとしたときに、目標の中心を狙って目標に弾が直撃する確率は

\displaystyle{
P(R)=1-0.5^{\frac{R^2}{R_{CEP}^2}}
}

確率は平均誤差半径と目標の半径の比で決まる。例えば目標の半径がCEPの半分であったとき、確率は (\frac{R}{R_{CEP}}=1/2であるから)

\displaystyle{
1-0.5^{(\frac{1}{2})^2}=1-0.5^{\frac{1}{4}}\\
\approx 0.1591
}

約16%。

参考にしたサイト

射爆理論 - Wikipedia

平均誤差半径 - Wikipedia